9.62018
【私の碁歴書】vol.10『初段プロジェクト』

※過去の記事はこちらから
・【私の碁歴書】vol.1
・【私の碁歴書】vol.2『大学受験に失敗〜文化系のサークルを探す〜』
・【私の碁歴書】vol.3『囲碁研究会にて青春を謳歌〜』
・【私の碁歴書】vol.4『1人ではつまらない』
・【私の碁歴書】vol.5『囲碁を通じた出会い』
・【私の碁歴書】vol.6『カフェに行ったら碁盤がある』
・【私の碁歴書】vol.7『決意のきっかけ』
・【私の碁歴書】vol.8『エクストリーム囲碁』
・【私の碁歴書】vol.9『2015年5月15日』
短期集中型の教室
「若い人(現役で働いている人)に囲碁を知ってもらうにはどうすればいいのか」
このテーマは僕が起業する前から、囲碁界の大きな課題として存在しています。
約20年前にマンガ『ヒカルの碁』が人気になって、子供たちに囲碁ブームを起こしましたが、それ以来は目立ったアプローチがされていません。
もちろん起業していきなりブームを起こせるわけはありません。
まったく無名と言っていい今の自分たちができることはなにか。
囲碁を仕事にしている人の多くが取り組んでいるのが教室サービスです。
「入門者クラス」や「級位者クラス」など、実力に分かれて人を集め、週1回または隔週に1回の頻度で行われ、講師が毎回のテーマに沿って教えるというやり方が一般的です。
新しく始める自分たちは、他と差別化を図り、若い人に興味をもってもらえるような教室にしないといけないと思いました。
そしてできたのが『三ヶ月で囲碁初段プロジェクト』というサービスでした。
初段というレベルは、ゼロから始めて週1回の教室に通った場合、1年半〜2年くらいかかると言われています。
もちろん上達スピードには個人差もあるため、万年級位者という人もたくさんいます。
その初段を「3ヶ月で目指そう」という短期集中型にしたのが特徴のサービスでした。
僕らが教えるからには、囲碁を一生楽しめるレベルまでもっていきたいという思いから、「初段」を一つのキーワードにしました。
ただ若い人は仕事からプライベートまで忙しく、1年半も囲碁を続けてくれるかはわかりません。
三ヶ月くらいならばお試しでも触れてもらえるのではないかと思い、それを対象機関にしました。
ゴールは日本棋院が開催している段級位認定大会です。
そこから逆算してスタートします。
初段プロジェクトの特徴は、やることを全力で絞ったことです。
初段になるまでに必要なことしかやらない。
難しい定石などには一切目もくれず、とにかく基礎練習の繰り返しでした。
またFacebookグループも使いながら、リアルとオンラインの両面からサポートできる体制をつくり、わからないことがあれば、いつでも応えられるようにしました。
第一棋(第1期)生は7月上旬から10月上旬までの3ヶ月だったのですが、お盆休みも囲碁に取り組んでもらうなど、無我夢中で団結して取り組みました。
参加者の棋力はまったく未経験の人が半分以上を占めましたが、他にも長く停滞しているという人まで、本当にさまざまでした。
それでもスタートしたときの状況は違えどゴールは同じということで、みなさんとも助け合いながら、毎日本当に努力されていました。
「3ヶ月で初段を目指す」という、とんでもない目標のもとに人が集まったので、毎回の教室はとても熱かったです。
その姿に刺激をもらい、講師もがんばって強くさせる循環が生まれていたと思います。
結果としては【第六棋】までやって、46名中8名の合格者でした。
囲碁を少しでもやった人からすると、この数字はかなりの成果だと思っていただけるでしょう。
※3ヶ月では達成できなかったものの、半年や1年以内に初段になれた人も含めればもう少し人数は増えます。
初段プロジェクトがIGOのスタートです。
ここから学んだ多くのことをこれからのサービスに活かしたいと思います。
今のところ次の【第七棋】を実施する予定はないのですが、
もし希望者が多いと分かれば、また取り組んでもいいかもしれませんね。
(つづく)